ジョホールバル-シンガポール間の高速交通システム(Rapid Transit System :RTS)リンクの建設が2020年7月30日、正式に再開された。
再開にあたっては、式典が催され、シンガポールからはリー・シェンロン首相とオンイェクン運輸大臣、マレーシアからはムヒディン・ヤシン首相とウィー・カ・シオン運輸大臣が参加した。

式典の様子は下記参照

両国はシンガポールのトムソンイーストコーストMRTライン(TEL)と同じ列車や鉄道システムからLRT(Light Rail Transit)システムに切り替えることを発表した。
シンガポール国立大学(NUS)の輸送研究者、リーダーホーン氏は、マレーシアのLRTシステムとTELの最も大きな違いは、使用する車両および列車のタイプであると述べた。
「新しい車両基地を建設するとプロジェクトのコストが増加しますが、LRTシステムを採用することによって削減されるコストで、車両基地の建設費用を補うことができます。また、運用コストも少なくなる可能性があります。」
両国は、RTSリンクが既存のTELのマンダイ駅を使用しないことを発表した。新しい車両基地は、ジョホールバルのワディハナに建設される予定。

シンガポール運輸省(MOT)の広報担当者は7月30日、LRTシステムは、来たるジュロン地域線のような、シンガポールのMRT線と同様の乗客数を運べるようにあると語った。彼女は、LRTシステムの片道1時間あたり最大10,000人の乗客数を見込んでおり、TELシステムと同じように列車の運行間隔は4〜6分の予定と付け加えた。片道の所要時間は約5分。また、当初計画されていたブキットチャガーやシンガポールには、整備施設がないことも確認した。

シンガポール経営大学の輸送エコノミスト、テレンスファン氏は、MRTシステムは初期投資と年間の総運用コストの点でより費用がかかると述べた。しかし、シンガポール社会科学大学の輸送研究者であるパー​​ク・ビョンジュン氏は、マレーシアのLRTシステムは大量の人々に対処するための最良の方法ではないと指摘したが、「一日に数千人の通勤者など、乗客数がそこまで多くない場合はLRTシステムの方が賢明な選択だ」と語った。また、「乗客数が毎日最大容量に近い状態になると、タイヤの摩耗により全体のコストが上がる可能性があるという懸念があるかもしれません。」

プロジェクトの進捗は、そのコストが一因となり遅れがちであった。昨年5月、債務削減を目指すマレーシア政府がプロジェクトコスト削減の検討のため着工を見合わせた。その後、プロジェクトの範囲と構造を修正し、コストを36%削減することで、10月31日に事業の継続が決まった。

リー教授は、ワディハナに新しい車両基地を置くことが最も実現可能な解決策であると指摘。RTSリンクはTELとは異なる車両となるため、信号や電力システムなどの運用システムは互換性がない、と述べた。

操業開始は2026年末の予定。