ソーシャル・ディスタンシングとは?

新型コロナウィルス(COVID-19)関連で「横文字が多い」と指摘が多い中、「ソーシャル・ディスタンシング」という新たな横文字が報道に出てきている。

ソーシャル・ディスタンシングのスペルはSocial Distancingである。それぞれの言葉を日本語にしようとすると、

Social:社会的な

Distancing:距離を置くこと

となり、日本語に翻訳しにくい。

特に、”Distance”という言葉は、「距離」という名詞でありながら「距離を置く」という動詞にもなる。この動詞としての”Distance”に、さらに”ing”を付けてSocial Distancingとしている。

ソーシャル・ディスタンスを「社会的距離」と訳す人もいるが、これは誤訳と言っても良い。名詞としての「距離」ではなく、動詞のニュアンスが伝わらなければ正しい意味とは言えないのである。

この「距離を置く」という言葉も日本語に翻訳しにくい。意訳すると「公共空間で人と人との距離を保つこと」となるだろう。カタカナで「ソーシャルディスタンシング」と言えば一言ですむところ、意味が分かる日本語にすると長くなってしまう。これが横文字が多くなる原因である。

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アメリカ企業は、自社のロゴを使いながらソーシャルディスタンシングを呼びかけている

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イタリアのSSCナポリとカッパも「遠く離れていても、これまで以上に団結した」とメッセージを出し、距離を保つことの重要性を訴えている。

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シンガポールで広がるソーシャル(セーフ)ディスタンシング

シンガポールでは、2020年3月26日(木)にシンガポール政府から発表された新型コロナウィルス(COVID-19)対応のための法改正により、新型コロナウィルス(COVID-19)の感染経路になったショッピングモールなどの公共施設は、その収容人数を制限し、10人以上の集団を作らせてはいけないルールとなった。違反した場合は処罰される。

また、公共の場所で他人から意図的に1m以内に座っている人、着席禁止とマークされている固定席に座っている人、列に並ぶ際に決められたよりも他人との距離を短くとっている人も処罰の対象となる。違反者は、最高10,000シンガポールドルの罰金、最長6か月の懲役、またはその両方が課せられる。

これに伴い、”Safe Distancing Ambassador”(安全な距離を保つための大使)が公共の施設を見守るようになっている。

下記の動画でわかる通り、シンガポールの商業施設では行列を作る時に他人との距離を取っている。(出典:The Straits Times)

日本人への影響は?

現地で生活する日本人や現地を訪問する日本人は、公共施設利用時に注意が必要である。

日本でも新型コロナウィルス(COVID-19)の感染者が増える中、こうしたソーシャル・ディスタンシングの動きが日本で導入される可能性もある。逆に言うと、こうした取り組みを徹底できれば、一律の営業停止やロックダウン(都市封鎖)を避けられる可能性も高まる。

シンガポールの取り組みがどのような効果を上げるか、今後の動向を注視したい。